大切に弾いてきたギター、いざ手放すとなると、フレットの減りが気になりますよね。「このままで大丈夫かな?」「買取価格、下がっちゃうのかな?」そんな不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。愛着のある楽器だからこそ、少しでも納得のいく形で手放したいものです。
この記事では、ギターのフレットの減りが買取査定にどう影響するのか、そして、少しでも納得のいく価格で買い取ってもらうためのポイントを、専門家の視点から優しく、わかりやすく解説していきます。専門用語もできるだけかみ砕いてご説明しますので、どうぞご安心くださいね。フレットの減りがギター買取に与える影響は、実は見過ごせないポイントなのです。
あなたのギターは大丈夫?フレットの減り、基本の「き」

まず、フレットの減りについて基本的なことから見ていきましょう。
フレットってどんな役割?
ギターのネックについている金属の棒、これがフレットです。このフレットがあるおかげで、弦を押さえたときに正確な音階を出すことができます。普段あまり意識しないかもしれませんが、ギターの音程を決める、とても大切な部品なんですよ。
どうしてフレットは減っちゃうの?主な原因
フレットは、残念ながら使っているうちに少しずつすり減っていきます。その主な原因を見てみましょう。
- 弦との摩擦
ギターを弾くたびに、弦とフレットは擦れ合います。この摩擦によって、フレットは徐々に摩耗していきます 。これが一番基本的な原因です。 - 演奏スタイル
- チョーキング(弦を押し上げる奏法)やビブラートをたくさん使うと、特定のフレット、特に弦がよく動く部分が減りやすくなります。エレキギターを弾く方にはおなじみの現象かもしれませんね。
- 弦を押さえるときの力加減も、フレットの減りに影響することがあります 。あまり力を入れすぎると、フレットへの負担も大きくなってしまいます。
- 弦の材質と状態:
- 弦が錆びていると、まるでヤスリのようにフレットを削ってしまいます。弦のお手入れも、フレットを長持ちさせるためには大切なんですね。
- ステンレス製の硬い弦は、一般的なニッケルシルバー製のフレットを早く摩耗させてしまうこともあります 。
- フレットの材質:
- 多くのギターに使われているニッケルシルバーという素材のフレットは、比較的柔らかいため、摩耗しやすい性質があります 。
- 一方、ステンレス製のフレットは非常に硬くて長持ちしますが、音色が少し硬質に変わるとも言われています。
- 汗や皮脂汚れ:
演奏中にかく汗や手の皮脂がフレットに残ると、フレットが曇ったり錆びたりする原因になり、間接的に摩耗を早めてしまうことがあります。
たくさん弾き込んだ愛着の証でもあるフレットの減りですが、次にそのギターを使う人のことを考えると、やはり状態は大切になってきますね。
買取の際には、この「弾き込んだ証」が、時には修理が必要な箇所として見られてしまうこともあるのです 。
フレットの減り、自分でチェックしてみよう

ご自身のギターのフレットの状態を、一度チェックしてみましょう。
- 目で見て確認:
- 弦が当たる部分のフレットが、他の部分と比べて凹んでいたり、平らになっていたりしませんか?
- 特にいつも押さえるポジションのフレットだけが、極端に低くなっていることもあります。
- ギターを少し傾けて、光の反射を利用して見てみると、フレット表面の状態が分かりやすいですよ。
- 弾いてみて確認:
- 特定のフレットを押さえたときに、音が詰まったり、「ビーン」というビビり音が出たりしませんか?
特に低いポジションや高いポジションで試してみましょう。 - チョーキングをしたときに、弦がフレットに引っかかるような感じはありませんか?
- 以前と比べて、音の伸び(サスティーン)が悪くなったように感じませんか?
- なんだか特定の音の高さ(ピッチ)が合わない、と感じることはありませんか?これもフレットの減りが原因かもしれません 。
- 特定のフレットを押さえたときに、音が詰まったり、「ビーン」というビビり音が出たりしませんか?
- 「フレット残り〇割」ってどういうこと?
- 中古ギターの説明で「フレット残り7割」や「フレット8割」といった言葉を見かけることがありますね 。これは、新品の時のフレットの高さを10割として、現在どれくらい残っているかを示す目安です。
- 一般的に、フレットの高さが0.75mmを下回ってくると、少し弾きにくさを感じるようになり、0.7mm以下になると、フレットを削って調整する「すり合わせ」という修理も難しくなってくると言われています 。
- 「フレット残り8~7割」と記載されていれば、まだ十分使える状態で、もし摩耗が進んでも、もう一度すり合わせができるくらいの余裕があると考えて良いでしょう。逆に「フレット残り5割以下」となると、購入後すぐに修理が必要になったり、弾きにくさを感じたりする可能性が高くなります。
- お店によっては、念のため少し厳しめに「残り7割です」と表現することもあるようです 。大切なのは、パーセント表示だけでなく、実際にフレットの高さがどれくらいあって、弾き心地に問題がないかという点です。買取査定のプロは、この「実際の状態」をしっかりと見ていますので、ご自身でもある程度把握しておくと良いでしょう。
表1:フレットの減り具合と一般的な状態・影響
| フレット残り目安 | 見た目の状態 | 演奏への影響 | 買取査定への影響(目安) |
| 8割以上 | ほとんど減りなし、またはごくわずかな使用感 | 問題なく演奏可能 | 影響は小さい、またはほぼなし |
| 6~7割程度 | 部分的に弦の跡が見られる、わずかな凹み | 通常演奏に支障は少ないが、特定箇所でわずかなビビりの可能性 | 軽微な減額の可能性あり |
| 5割程度 | 明らかに弦の跡が凹んでいる、フレットが平坦化している | 音詰まりやチョーキングのしにくさを感じる場合がある | 減額の可能性が高い、修理費用が考慮される |
| 5割以下 | 深い溝ができている、全体的にまたは部分的に極端に低い | 演奏に支障が出やすい、音詰まりやビビりが多発する | 大幅な減額、または修理必須と判断される |
この表はあくまで一般的な目安です。実際の状態やギターの種類によって評価は変わりますので、参考程度に考えてくださいね。
フレットの減りがギター買取査定に与える影響

フレットの減りが、実際の買取査定でどのように評価されるのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
査定の基本:「引き算」で価格が決まる?
多くのギター買取店では、査定の際に「引き算方式」という考え方が用いられることがあります 。
これは、ギターが新品同様の完璧な状態だった場合の価格を上限(満額)として、そこからフレットの減り具合やキズ、ネックの反りといったマイナスポイントに応じて減額していく、というものです。つまり、状態が良いほど満額に近くなり、修理が必要な箇所が多ければ多いほど、査定額は下がっていくというイメージですね。
フレットの減りはどれくらい減額されるの?
フレットの摩耗は、ギターの状態を示す重要なポイントなので、査定額に影響します。状態が良くない場合、例えばフレットの摩耗が激しいと、買取価格から20%~75%程度減額される可能性があるという目安もあります 。
ただし、これはあくまで一般的な目安で、実際の減額幅はフレットの摩耗の程度や、修理が必要かどうかによって大きく変わってきます。
もしフレットの修理が必要だと判断された場合は、その修理にかかる費用が査定額から差し引かれることが一般的です
買取業者は、買い取ったギターを清掃・修理して再び販売することを目的としています。そのため、フレットの修理が必要な場合、単に部品代だけでなく、修理にかかる技術料や時間、そして再販売する際のリスクなども考慮して減額幅を決めていると考えられます。の例では、「(修理に)1万円かかったからじゃあ1万円分ちょっと引かせてくださいみたいな感じで査定ダウンが行われますね」とあり、修理コストが直接的に査定額に反映されることがうかがえます。
ただ、お店によっては、自社内にギターの修理工房を持っている場合があります 。
そういったお店では、外部に修理を依頼するよりも費用を抑えられるため、その分を買取価格に少し上乗せしてくれる可能性も期待できるかもしれません。これは、お店を選ぶ上での一つのポイントになりそうですね。
ギターの種類による影響の違い

フレットの減りが査定に与える影響は、ギターの種類によっても少し変わってきます。
- ヴィンテージギター:
- 古いギター、特に「ヴィンテージ」と呼ばれるものは、作られた年代や希少性から特別な価値を持つことがあります。このようなギターの場合、フレットがオリジナルのままであることに価値を見出すコレクターもいます 。しかし、いくらオリジナルでも、フレットがひどく摩耗していて演奏に支障が出るようでは、やはり査定額は大きく下がってしまいます 。
- フレットを交換すれば演奏しやすくはなりますが、今度は「オリジナルの状態ではない」ということで、ヴィンテージとしての価値評価が変わってしまう可能性があり、悩ましいところです 29。弾き心地を優先するか、オリジナルの状態を保つか、ヴィンテージギターの売却ではこのバランスが難しい判断になることがあります。
- とはいえ、ギター自体の希少性が非常に高ければ、多少の傷やフレットの減りがあっても、高額で買い取ってもらえるケースもあります 。
- 人気ブランド・高額モデル:
- ギブソン、フェンダー、マーティン、ヤマハといった有名ブランドのギターや、元々高価なモデルは、中古市場でも人気が高く、状態が良ければ高値での買取が期待できます 。
- これらのギターも、もちろんフレットの減りはマイナス査定の対象となります。修理が必要な場合、部品代や技術料も比較的高くなる傾向があるかもしれません。
- 廉価モデル:
- 比較的お手頃な価格のギターの場合、フレット交換などの本格的な修理費用が、ギター本体の買取価格を上回ってしまうことも考えられます。そうなると、大幅な減額になったり、場合によっては買取が難しくなったりすることもあります。
ヴィンテージギターのフレットに関しては、演奏するための「実用性」と、骨董品としての「オリジナリティ」という、二つの価値観が存在します。
では「楽器としての価値を上げれば、ヴィンテージとしての価値を下げてしまう」と指摘されており、フレット交換はこの典型例と言えるでしょう。
でも、ヴィンテージギターの査定ではオリジナリティと演奏性の両面から評価され、修理されている方が有利になる「可能性が高い」としつつも、修理内容によってはオリジナリティを損なうと述べられています。この点を理解しておくことが、ヴィンテージギターを売却する際には大切になります。
フレット以外の状態も影響する?

ギターの査定では、フレットの状態だけでなく、ギター全体のコンディションが総合的に評価されます。
例えば、
- ネックの反り: ネックが反っていると、弦高が適切でなくなり弾きにくくなったり、音詰まりの原因になったりします。これは大きな減額ポイントです 14。
- ボディの傷や打痕、塗装の剥がれ: 大きな傷や打痕、塗装の剥がれなども査定額に影響します 15。
- 電装系の不具合: 音が出ない、ノイズが大きいといった電気系統の問題も減額の対象です 36。
- パーツの欠品や改造: オリジナルパーツが欠品していたり、元に戻せないような改造が施されていたりする場合も、査定に影響することがあります 31。
これらのマイナスポイントが複数ある場合は、それぞれの減額が積み重なり、全体の査定額がさらに下がってしまうこともあります 。ギターは、フレットだけでなく、全体の状態が大切に見られるということですね。
フレットが減ったギター、修理する?そのまま売る?

フレットが減ってしまったギター。「修理してから売った方がいいのかな?それとも、このまま売った方が得なのかな?」と迷いますよね。ここでは、修理の選択肢と、その判断基準について考えてみましょう。
フレット修理にはどんな方法があるの?
フレットの修理には、主に次の3つの方法があります。
- フレットすり合わせ (Fret Dressing/Levelling):
- どんな修理?: フレットの頂点をヤスリなどで少しずつ削り、全体の高さを均一にする修理方法です。部分的に凹んでしまったフレットを平らにし、音詰まりやビビりを解消します。
- 費用目安: だいたい8,000円~22,000円くらいが相場のようです。
- メリット: フレット交換に比べて費用が安く、修理期間も比較的短いのが特徴です。演奏性も改善されます。
- デメリット: フレット全体が少し低くなるため、弾き心地が変わることがあります。また、何度もできる修理ではなく、回数には限界があります(一般的に2~3回程度と言われます )。フレットの残りが少ない場合(例えば高さが0.7mm~0.8mm以下 )や、摩耗が激しすぎる場合は、すり合わせ自体ができないこともあります 。
- 「フレットの減りがまだそれほどひどくない、という場合には「すり合わせ」という方法があります。フレットの頭を少しだけ削って、高さをきれいに揃えるんですね。比較的費用も抑えられますし、短期間で修理が終わることも多いですよ 。」
- フレット交換(全交換/リフレット) (Full Refret):
- どんな修理?: 古くなったフレットを全て抜き取り、新しいフレットを打ち直す、大掛かりな修理です 。この際、指板(フレットが打たれている板の部分)の歪みを修正する作業も一緒に行われることが多いです 。
- 費用目安: ギターの種類や状態、使用するフレットの材質によって幅がありますが、おおよそ30,000円~70,000円以上かかることが多いようです 。
- ステンレス製のフレットを選ぶと、追加料金がかかることがあります 。
- メイプル指板のように、指板自体に塗装がされている場合は、再塗装の費用も必要になることがあります 。
- ネックの縁にバインディング(飾り)がついている場合も、作業が複雑になるため追加料金がかかることがあります 。
- メリット: フレットが新品同様になり、演奏性が格段に向上します。自分の好みに合わせて、フレットの材質やサイズを選ぶこともできます 。
- デメリット: 修理費用が高額になり、修理にも時間がかかります 。ギター本体の価値や状態によっては、修理費用が見合わないこともあります。
- 「フレットが全体的にかなり減ってしまっている場合は、思い切って全部のフレットを新しいものに取り替える「フレット交換」という修理があります。費用はかかりますが、弾き心地はまるで新品のギターのようによみがえりますよ 。」
- フレット部分交換 (Partial Refret):
- どんな修理?: 特に減りがひどい部分のフレットだけを選んで交換する方法です 。例えば、よく使うローコードの部分だけ、といった具合です。
- 費用目安: 交換するフレット1本あたり2,000円~3,000円程度から、または「1~10フレットまで」のように範囲を指定して料金が設定されている場合があります 。
島村楽器の修理事例では、アコースティックギターの1~10フレット交換で36,960円(税込)+パーツ代+送料と紹介されています 。 - メリット: 全てのフレットを交換するよりも、費用を抑えられる可能性があります 。
- デメリット: 新しく交換したフレットと、元々あったフレットの高さをぴったり合わせるのが非常に難しく、高度な技術が必要です 。指板全体の調整は行わないため、ネックの反りなど根本的な状態が改善されるわけではありません 。また、交換したフレットと他のフレットで、音の響きやサスティーンに違いが出てしまう(音色がばらつく)可能性も指摘されています 。
修理代と買取価格アップ、どっちがお得?

フレットを修理に出すか、そのままの状態で売るか、一番気になるのは「どちらがお得か」という点ですよね。基本的な考え方としては、「修理にかかる費用」と「修理したことによって買取価格がどれだけ上がるか」を比べることです。
例えば、フレット交換に3万円かかったとしても、それによって買取価格が1万円しか上がらないのであれば、修理しない方が手元に残るお金は多くなります 。
ここで一つポイントとなるのが、買取業者によっては自社で修理工房を持っていたり、提携しているリペアマンがいたりする場合です 。
そういった業者は、外部に修理を依頼するよりも安く修理できるため、修理が必要な状態のギターでも、その分を考慮して比較的良い価格で買い取ってくれる可能性があります。
私たちが自分で修理に出すと市場価格での修理費がかかりますが、買取業者は内部コストで修理できるため、その差額が買取価格に影響することがあるのです。
ですので、フレットが減っているギターを売ろうか迷ったら、まずは修理に出す前に、いくつかの買取店に現状のまま査定を依頼し、「もしフレットを修理した場合、買取価格はどれくらい上がりそうですか?」と相談してみるのが良いでしょう 。
お店によっては、修理せずにそのままの状態で買い取ってくれることもありますし、修理のアドバイスをもらえるかもしれません。
自分で修理は危険?プロに任せるべき理由

「少しでも費用を抑えたいから、自分で修理してみようかな…」そう考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、フレットの修理は、見た目以上に専門的な技術と専用の工具が必要です。
特にネック周りやフレットの調整は非常にデリケートな作業で、知識や経験がないまま手を出してしまうと、かえって状態を悪化させてしまったり、最悪の場合、ネックを傷めてしまったりする可能性があります 。
例えば、ネックの反りを調整するトラスロッドという部品は、回し方を間違えるとネックを破損させてしまうこともあります。
大切なギターですから、修理が必要だと感じたら、無理をせず専門の技術を持ったリペアショップや楽器店にお願いするのが一番安心で確実な方法と言えるでしょう。
表2:フレット修理方法の比較
| 修理方法 | 主な作業内容 | 費用目安 (円) | メリット | デメリット | こんな場合に検討 |
| フレットすり合わせ | フレット頂点の研磨・整形、全体の高さ均一化 | 8,000~22,000 | 比較的安価・短納期、演奏性改善 | フレットが低くなる、何度もできない、摩耗が進んでいると不可 | 軽微なフレットの凹み、部分的なビビり |
| フレット全交換 | 全フレットの抜き取り、指板調整、新フレット打ち込み | 30,000~70,000以上 | 演奏性が大幅に改善、新品同様のフレット、好みのフレットに変更可能 | 高価、修理期間が長い、ギター本体の価値と見合わない場合も | フレット全体の摩耗が激しい、すり合わせ限界 |
| フレット部分交換 | 特定の摩耗したフレットのみ交換 | 1本2,000~、または範囲指定 | 全交換より安価な場合がある、特定箇所の問題解決 | 新旧フレットの高さ合わせが難しい、音色にばらつきの可能性、指板全体の調整不可 | 特定のフレットのみが極端に摩耗している場合 |
この表も、ご自身のギターの状態と照らし合わせて、修理を検討する際の参考にしてみてくださいね。
フレットが減っていても諦めない!少しでも高く売るためのコツ

「フレットが結構減っちゃってるから、もう高くは売れないかも…」と諦めてしまうのはまだ早いかもしれません。少しでも良い条件で買い取ってもらうために、できることがいくつかありますよ。
4-1. 見た目は大切!できる範囲でクリーニング
査定に出す前には、ギターを綺麗にしてあげましょう。ボディや金属パーツについた指紋やホコリ、汚れなどを、ギター専用のクロスやクリーナーを使って優しく拭き取ります。指板の汚れも、専用のオイルなどを使って丁寧に清掃すると、見た目の印象がぐっと良くなります 。
ただし、力を入れてゴシゴシこすったり、ギター用ではない家庭用の洗剤や研磨剤入りのクリーナーを使ったりするのは禁物です 28。塗装を傷めたり、かえって状態を悪くしてしまったりすることがあります。あくまで「優しく、丁寧に」がポイントです。
4-2. 付属品は揃っている?
ギターを購入したときに付いてきたものは、できるだけ揃えて査定に出しましょう。
例えば、
- 純正のギターケース(特にハードケースは査定額に影響しやすいです 21)
- 保証書
- 取扱説明書
- トレモロアーム
- 調整用のレンチ類
などです。
これらの付属品が揃っていると、査定額が少しプラスになることがあります。失くしてしまったものがあっても、残っているものだけでも一緒に持っていくと良いでしょう。
弦は張ったままでOK!
「査定前には新しい弦に張り替えた方がいいのかな?」と迷うかもしれませんが、基本的にはその必要はありません。買取店では、査定時にネックの状態を確認したり、実際に音を出してチェックしたりするため、弦が張られている状態の方が都合が良いのです。
もちろん、弦が1本切れていたり、あまりにも錆びていたりすると、正確な状態が把握しにくく、見た目の印象もあまり良くないかもしれません。
しかし、無理にピカピカの新品弦に交換しなくても、普段使っている状態で大丈夫ですよ。
正直に状態を伝えるのが一番
フレットの減り具合や、もし他に気になる不具合(例えば、ネックが少し反っている気がする、特定のスイッチの調子が悪いなど)があれば、査定を依頼する際に正直に伝えましょう。
隠していても、プロの査定スタッフが見れば分かってしまうことがほとんどです。正直に伝えることで、査定がスムーズに進みますし、お店との信頼関係も築きやすくなります。もし事前に伝えていた情報と実際の状態が大きく異なる場合、査定額が下がってしまう可能性もあります 37。
一つの店だけでなく、複数の店で見てもらう
もし時間に余裕があれば、一つのお店だけでなく、いくつかのお店に査定を依頼してみることをお勧めします。
お店によって、得意としているギターの種類やブランド、査定の基準、修理の体制などが異なるため、同じギターでも査定額に差が出ることがあります。
また、いくつかのお店を比較することで、ご自身のギターの相場観も掴みやすくなりますし、より納得のいく条件で売却できる可能性が高まります。
どこで売るのがいい?買取店の種類と特徴
ギターを売る場所には、いくつかの選択肢があります。それぞれにメリットとデメリットがあるので、ご自身のギターの状態や、どれくらい手間をかけられるかなどを考えて選ぶと良いでしょう。
- 楽器専門店:
- メリット: ギターに関する専門知識が豊富なスタッフがいるため、ギターの価値を正しく評価してくれる可能性が高いです 25。特にヴィンテージギターや高価なモデル、珍しいギターなどは、専門店の方が適正な価格を付けてくれることが期待できます。また、自社でリペア部門を持っているお店なら、修理が必要なギターでも、修理費用を抑えた上での査定をしてくれるかもしれません。
- デメリット: 店舗数が限られている場合があり、近くにお店がないこともあります。
- 総合リサイクルショップ:
- メリット: 店舗数が多く、気軽に持ち込みやすいのが特徴です。
- デメリット: 楽器専門の査定員がいない場合が多く、ギターの細かな状態や価値を正確に判断してもらえないことがあります 14。そのため、本来の価値よりも低い査定額になってしまったり、状態が悪いと買取を断られたりすることもあります。
- フリマアプリ・ネットオークション:
- メリット: 自分で価格を設定して出品できるため、うまくいけば楽器専門店の買取価格よりも高値で売れる可能性があります 63。
- デメリット: 写真撮影や商品説明の作成、購入希望者とのやり取り、梱包、発送といった手間が全て自分にかかってきます 63。また、個人間の取引になるため、代金の未払いや商品状態に関するクレームなど、トラブルが発生するリスクも考慮しなければなりません。手数料がかかる場合もあります。フレットの減りなど、ギターの状態を正確に、かつ分かりやすく説明するスキルも求められます。
ご自身のギターの種類や状態、そして売却にかけられる手間や時間を考えて、最適な売却先を選んでくださいね。
フレットの減りなど、状態に少し自信がない場合は、専門的な知識を持ったスタッフに見てもらえる楽器専門店の方が、安心感があるかもしれません。
大切なギターのために。フレットの減りを遅らせる普段の心がけ

フレットの減りは、ある程度は仕方のないことですが、日頃のちょっとした心がけで、その進行を遅らせることができます。大切なギターと少しでも長く良い関係を続けるために、そして将来もし売却する際にも、良い状態を保つためのヒントをご紹介します。
演奏後のお手入れを習慣に
ギターを弾き終わった後には、弦や指板についた汗や皮脂、ホコリなどを専用のクロスで優しく拭き取ってあげましょう。これだけでも、弦のサビを防ぎ、フレットの曇りや早期の摩耗を抑える効果が期待できます。特に手の汗をかきやすい方は、こまめな拭き取りが大切です。
フレットに優しい弦を選んでみる
弦の種類によっても、フレットへの負担は変わってきます。
- コーティング弦: 最近では、弦の表面が特殊な薄い膜でコーティングされている弦があります 。これらの弦は錆びにくく、滑りが良いのが特徴で、フレットへの攻撃性も低い傾向にあります。通常の弦よりも少し価格は高めですが、寿命が長いものが多く、フレットの摩耗を抑える効果も期待できるので、試してみる価値はあるかもしれません。
- 弦の材質: 一般的に、ステンレス製の弦はニッケル製の弦よりも硬いため、ニッケルシルバー製のフレットを摩耗させやすいと言われています。もしフレットの減りが気になるようでしたら、比較的フレットに優しいニッケル弦を選んでみるのも一つの方法です。
- 弦の太さ(ゲージ): あまりにも太すぎる弦は、フレットにかかる圧力も大きくなる可能性があります。ご自身の演奏スタイルやギターに合った、適切な太さの弦を選ぶことも大切です 。
優しいタッチで弾いてみる
演奏方法も、フレットの寿命に影響を与えることがあります。
- 押弦: 弦を押さえるとき、必要以上にぎゅっと強く力を入れていませんか?実は、音を出すのにそれほど強い力は必要ないことが多いのです 。できるだけ最小限の力で、クリアな音が出るように押さえることを意識すると、フレットへの負担も軽減できます。
- チョーキング: 弦を押し上げるチョーキングは、フレットとの摩擦が大きくなる奏法です。無理な力を加えたり、雑に行ったりすると、フレットを早く傷めてしまう原因になります 。滑らかに、そして的確な力加減で行うように心がけましょう。
保管方法も見直してみよう
ギターを弾いていないときの保管方法も、フレットやネックの状態に影響します。
- ギターケースでの保管: ギターをむき出しのままスタンドに立てかけておくよりも、専用のハードケースやギグバッグに入れて保管する方が、ホコリや急な衝撃から守ることができます 。
- 湿度管理: ギターは木材でできているため、湿度の変化に敏感です。日本の気候は湿度変化が大きいので注意が必要です。一般的に、ギターにとって快適な湿度は40%~60%程度と言われています 。乾燥しすぎると木部が収縮してフレットの端が飛び出す「バリ」が出たり、逆に湿度が高すぎると木部が膨張してネックが反ったりすることがあります 。湿度計を置いたり、湿度調整剤を活用したりして、できるだけ安定した湿度環境を保つようにしましょう 。
- 温度管理: 急激な温度変化もギターには良くありません 。直射日光が当たる場所や、エアコンの風が直接当たる場所、ストーブの近くなどは避けて保管しましょう。
- 弦のテンション: もし長期間ギターを弾かない場合は、弦の張力を少し緩めておくのも、ネック反りやフレットへの負担を軽減する一つの方法です 。ただし、緩めすぎると今度は逆方向にネックが反ってしまうこともあるので、「ペグを半回転~1回転くらい戻す」程度が良いとされています 。
フレットを長持ちさせるためのこれらの工夫は、実はギター全体のコンディションを良好に保つことにも繋がっています。
ネックの反りを防いだり、塗装を保護したりと、総合的に良い状態をキープできれば、将来的にギターを手放す際にも、きっとプラスに評価されるはずですよ。
まとめ

ここまで、ギターのフレットの減りが買取査定に与える影響や、その対策についてお話ししてきました。
フレットの状態をご自身である程度チェックできるようになること、修理が必要な場合の選択肢を知っておくこと、そして少しでも高く買い取ってもらうためのコツや、日頃からできるフレットケアの方法を知っておくだけで、漠然とした不安は軽くなり、より落ち着いて買取に臨めるはずです。
この記事が、皆さんの大切なギターとの思い出を胸に、納得のいく形で次のステップへと進むための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。

